労働問題は社会保険労務士に聞いてみよう―あるある労働相談 第16回目―
あるある労働相談では、労働問題のスペシャリストである社労士が、働くうえで出てくる様々な問題・疑問にお答えします。今回は特定社会保険労務士の資格を持つマイケル岡田先生に聞いてみました。
社会保険労務士(以下、社労士)は労務、労働保険、社会保険に関するスペシャリストです。社労士と聞くと、どうしても”企業の味方”というイメージをお持ちの方も少なくないと思いますが、各種労働問題(サービス残業、残業代未払、有給問題、セクハラ、パワハラ、嫌がらせ、名ばかり管理職、有期労働契約の雇い止め、派遣切り等)に対する相談を行っており、働く側(個人)にとっても心強い味方です。
- 相談
どんなに残業をしても、手当て以外は何ももらえないのですが、違法性はないのでしょうか?(定額残業代・みなし残業代) -
回答
従業員の方から「どんなに残業をしても、残業代が増えない」という相談を受けました。
多くの企業に導入されている、「定額残業代(みなし残業代)」のことです。これは、実際に残業した時間を計算して残業代を支払うのではなく、毎月一定の手当額(例えば営業手当など)を残業代として支給する方法です。
このような「定額残業代(みなし残業代)」は、法律違反ではありません。
定額残業代(みなし残業代)については、裁判所や労働基準監督署は、厳しい判断をしておりますが、労働契約や就業規則等に明記すれば、採用することができます。
もちろん、法律上支払うべき残業代がその手当の額を上回るときは、その差額を支給しなければなりません。《労働契約や就業規則等の記載例》
■悪い例:
×「基本給に残業代を含む」
×「基本給に月25時間分の残業代を含む」■良い例:
○「基本給25万円+月25時間分の残業代5万円=合計30万円」
○「月給30万円(うち月25時間分の残業代5万円を含む)」